2025.11.15
その他
緑区・豊明市の皆様こんにちは。
明倫ゼミナール徳重校です。
「学習の高速道路論」、というのをご存知でしょうか。
棋士の羽生善治さん(永世七冠の羽生さんですね)の著書でたまたま目にしたのですが、
曰く、「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、
将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。
でも高速道路を走りぬけた先では大渋滞が起きています。」
方法論が確立されたので、
誰でもある程度までは進むことが出来る(=高速道路が敷設されている)。
一方で、その方法論で頭打ちになるレベルでは、
「そこから先をどう進めばよいかわからない人」があふれている(=大渋滞が起きている)。
羽生さんは当然、棋士の対局・研究についてという文脈でこの問題に触れていますが、
将棋界に限らず、広く色んな分野で同じ状況にあると思います。
方法論の確立によって初級者はおろか、
中級者レベルを脱するハードルすらも一気に低くなり、
一方で上級者を目指すには依然大きな壁が存在する。
一番深刻なのは、やはりこの「学習の高速道路」を抜けた先で、
渋滞から脱する手段を持ち合わせていない方が多い、ということです。
実際、よく聞きますよね。
「そんなの習ってない」という言葉。
あれ、まさに「高速道路を抜けた先」の話でしょう。
本来は「習ったものを組み合わせて」「自分で考えて」辿り着くべき場所に、
「高速道路が通っていないこと」への不満が出る。
典型的な、「思考の体力が落ちている」状態です。
その先に進むためには、何よりもまず体力を取り戻さなくてはならない。
何故なら、先は舗装されていない「けもの道」かもしれないからです。
では、どうすれば思考の体力はつくのか。
何か良い方法は無いものか、というと、
やはり回答は「そんなものはない」ということになります。
強いて言えば、「自分で試行錯誤する経験を積む」ことです。
教本に載っている通り、人から教わった通りではなく、
自分なりの方法に昇華していくこと。
誰もが通る道には、誰もが持っているものしか落ちていない。
それはそれで大事なわけですが、自分の武器になるものを磨こうと思うと、
やはりそれだけでもいけませんね。
皆さんが高速道路を抜けた先で戦う力を養えるよう、
日々の学習があると嬉しいなと思います。